【合同会社K plus 創世記】 Vol.10 ~萬法、伊豆に帰す~ 静岡県伊豆半島篇 PART 3
伊豆半島の西側でのメインイベントは、なんといっても極上の夕陽をめでる眼福。
が、本日は、日本人の口福の基盤を長い間築いている「モノ」について紹介させてください。
さて、「イマドキ」という枕詞から文章が始まると、ネガティブな様相が多少なりとも含まれていることが多いと思いませんか?進化しすぎた「現代」を揶揄している場合もあれば、「過去」を時代遅れと揶揄する場合も…。
文化の進化とは、過去に夢みた憧れが現実となること。なので、「イマドキ」であることは全人類にとって誇るべきことであり、喜ぶべきことであるはずですよね。
が、手放しで喜べないのは、複雑なオトナゴコロのいたずらなのでしょうか?
令和の現在、昭和歌謡が世界的に注目されたり、若者の間で平成ブームが起こっていたり、なにかと昭和生まれの人間にとっては「アタリマエ」なことが「クール」になっています。(※クールという言葉もちょっとカビが生えているかもしれません。)
そんな中、まだまだ、緑茶は「ペットボトル」、出汁は「出汁パック」が、「アタリマエ」の方々が多いのではないでしょうか?
かつては、毎朝の日課は鰹節を削り器でキコキコキコと削ることだったご家庭が多いはずなのですが…
前置きはさておき、
我々は、西伊豆町の田子という町にある「カネサ鰹節商店」を訪問させていただきました。

コスパ&タイパ&安全にこだわる今、こちらでは、最も効率が悪く、最も手間もかかり、危険も伴う焙乾方法で伝統的な鰹節を作っていらっしゃいます。
その名も「手火山式焙乾」。
「手火」です。
大事なことなので、繰り返します。
「手火」です。
最高温度130度超えという高温の中で、鰹節に当たる熱量を均等にするため、常に手で熱を測り、火を調整されているのです。鰹節が焦げないように、ギリギリの高温で表面を燻し乾かすことによって、鰹の味を閉じ込めて旨味を凝縮させることができるとか。
しかも、この作業を続けること約1か月!
文字通り、丹精込めて作られた鰹節で作る出汁は、濁りのない澄んだもので、鰹節本来の味と香り
が豊かなのです。

「時間と手間をかけて美味しいものを食べるか、時間と手間をかけずに美味しくないものを食べるのか。」
こちらは、カネサ鰹節商店のご主人のお言葉ですが、このオトナの選択が我々の将来の「和食」の味を決めるかもしれないなと思わされます。
そういえば、よくできた香料に慣れすぎてしまって、本物のメープルシロップや栗を食べた時に
「あれ?味が薄いな?」と思った経験はありませんか?
「もう元には戻れない」状態にならないうちに、多くの人に、足を運んで頂きたいお店が、カネサ鰹節商店なのです。
是非に。

カネサ鰹節商店
〒410-3515 静岡県賀茂郡西伊豆町田子600−1
電話:0558-53-0016(平日 09:00~17:00)
https://katsubushi.com/